「オープンソースはもっと保守性を上げるべく努力せよ」(OO百韻) | ◇ ◀ ▲ ▶ |
私がそう言い張りたいのではない。 CACMの2004年10月号にそういうタイトルの記事があったのだ。 タイトルは“Open Source Software Development Should Strive for Even Greater Code Maintainability(オープンソースソフト開発はもっと保守性 が上がるように努力すべきだ)”でIoannis Samoladas、Ioannis Stamelos,、Lefteris Angelis、 Apostolos Oikonomouによる共著で5ページほどのショートアーティクルである。 この手の記事は鵜呑みにするのは危険であるが、 ちょっと気になったので日記ネタにしてみた。
著者らは、既存のソースコードの測定方法を組み合わせ、独自の保守性指標を考案し、 5つのプロジェクトについて比較をしたのだそうだ。 これは私個人のまったくの想像だが、取りあげたプロジェクトの一つはNetscapeであった のではないかと思っている。 その調査の結果、オープンソースではソフトのバージョンアップに対して保守性指標が 改善せず、せいぜい横ばいか、あるいは緩やかに低下しているというデータを得た。 著者らにとっては不本意だったので活を入れる意味を込めてネガティブムードのタイトルになったのだろう。 非オープンソースのケースでバージョンアップに伴って明らかに指標が低下している のがあるので、それとの比較で考えればけっしてオープンソースに悲観することは ないと思うが。
保守性指標の公式が成立した過程があまり説明されていないので、 個人的にはこの記事にあまり満足していない。 この手の統計値をベースにした指標は、 客観的に検証可能な方法でその成立過程が解説されなければ、 けっこう自分の好きな結果に誘導することが難しくないからだ。 もっとも5ページほどの記事にそれを期待するのはちょっと酷な話ではあるが。
彼らの結論を簡単にまとめると
記事の前半、駆け足でいろいろと書かれているが、 オープンソースの短所として不完全なドキュメントとテクニカルサポートの不在を挙げている。 よく言われていることではあるが、この辺りがネックであるとだれもが認識し、 いろいろな人がいろいろな試みをしていながら、 未だ決定打となるような解決策がでていないあたりが オープンソースのネックとなっているのではないか。
個人的なオープンソースに対する感想として、 オープンソースに開発側として関わる人もユーザーとして関わる側も 哲学的な意識改革がもとめられているのではないだろうかと思っている。 今は、オープンソースに関わる人間の、 オープンソースに対するスタンスが問われている段階なのだ。
オープンソース界においては、アレキサンダーは出現した。 ガンジーはいつ出現するだろうか。
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